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移月 

Je prie pour ton bonhrur ~ A―MEN ~
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死神

私は彼女を殺めました。
             ソレは私が死神だからです・・・。

ある朝神は言いました。


「人を愛しなさい」

そんな私の前に一人の少女。
 


記憶に残る紅色の涙
白い床をたちまち満たして
光は次第に弱くなる・・・


 

彼女は私の全てを受け入れて愛すと言った。
彼女は私以上の傷を抱え、私無しでは生きられぬと・・・。
 

 

言われ続ける詞達

次第に落ち葉のように重みを増して・・・。

彼女と過ごした春夏秋冬
初めて知った紅茶の温もり
沁みる宵の輝く星座
全てが砕けて消えていく・・・

 

やがて養分が溶け出して、心に染み入ってきた頃。



彼女は耐えかねて他人の元へ・・・。

記憶の中で霞む彼女
紅の涙に墜ちて逝く
最期の貌は笑顔か否か・・・
今更知る、由も無く。



言われてきた言葉達

「好きよ」 
 「永遠に愛してる」
「・・・離れないで。」


私は笑って肯くだけ。
私と彼女の永遠が違いすぎるから
だから、ほんの一瞬でも・・・
なんて、気の迷いだよ。


そうに、決まっていたんだ。



ハラハラと舞い落ちる花弁達
彼女を綺麗に彩って
私は美しさに心奪われ
永遠に帰れなくなる・・・。

なのに・・・。

雪の様には溶けなくて・・・。
 

ソレはまるで生き地獄
もがき苦しむ喉の線
声さえ出ない叫びは虚空へ消えて・・・。




ある夜神様は言いました

「人を殺めなさい」


そんな私の前で微笑む彼女



私の元に舞い戻る・・・。


 

永遠に共に生きる術だ、と
神は言った
                 
   私は死神     
彼女は人間

共に暮らすには自分の世界に引き込めば善いと
神、と名乗る声は確かに言った・・・。




そう。       
彼は       
彼こそは・・・



『死神だった。』


後から聞いた話では
私はまだ死神になりきれていなかったらしい。
いわばコレは最終試験
愛する者を殺めて初めて死神と成るのだ。


失われてく理性
微かによぎる紅の涙
悲しみは糧でしかなくて
彼女は私の記憶から消え去る・・・。


ある日私は言いました。
愛する彼女に人を愛しなさいと
そして愛した人を殺めなさいと・・・。

今度は私が彼女に云うのです。







ある日、私は彼女を殺めました。
              ソレは私が死神だからです・・・。

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